富士市大渕:大渕片倉古墳群

過日,大渕片倉古墳群(静岡県富士市大渕)を見学した。
大渕片倉古墳群は,富士総合運動公園の南東側に位置する「古墳公園」と呼ばれる区域の駐車場前にあり,3基の円墳によって構成されている。それらの円墳は,半竪穴式石室(半竪穴式石室)と呼ばれる特殊な構造をもった石室をもっているという特徴があるとのこと。トポロジー的な発想からすると,このような竪穴式の構造をもつ墳墓様式は,それ自体としては,世界的に見ると特に珍しい葬祭様式ではなく,例えば,キリスト教徒やユダヤ教徒は,通常,遺体を蔵置した木棺を竪穴の中に埋葬する。
横穴式石室が三国時代の魏の支配圏~高句麗の支配圏にみられるような葬祭文化(特に仏教的文化)を伝えるものだと仮定し,(木棺直葬の場合を含め)竪穴式の墓室が横穴式石室をもつ文化とは別の系統の文化を伝えるものだと仮定した場合,日本国(倭国)の古代におけるかなり動的で複雑な文化伝播現象を想定することができる。
そのような文化伝播現象は,当然のことながら,朝廷による軍事侵攻と既存の在地政治勢力(国神)の破壊または吸収(併呑・服従)の結果としての統一王朝の成立と直接に関係するもの,または,そのような出来事の結果として生じたものだろうと想像される。
私見としては,大渕片倉古墳群の古墳は,茨城県土浦市の武者塚古墳と同様,文字によっては残されていない日本国(倭国)の古代の歴史の一部を証明するための物的証拠の1つだと言えると考えている。


IMG_5596.JPG古墳公園の様子


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古墳群の説明板


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南東の方から見た片倉1号墳


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片倉1号墳上部の様子


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南の方から見た片倉1号墳
(右奥は片倉2号墳)


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片倉2号墳


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片倉2号墳の墳丘上の石材


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北東の方から見た片倉2号墳
(左奥は片倉1号墳)


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南東の方から見た片倉3号墳


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南西の方から見た片倉3号墳


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古墳公園駐車場付近から見える景色


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