鹿嶋市:宮中野古墳群再訪(その1)

2014年に初めて宮中野古墳群(茨城県鹿嶋市宮中)を訪問し,幾つかの古墳を見学した。過日,宮中野古墳群及び関連古墳群所在地を再訪し,現状において現存しており,かつ,アクセス可能な古墳や関連遺跡等を観て回った。

宮中野古墳群を主体として同じ台地上にある古墳群の分布図(パンフレット)は,夫婦塚古墳(73号墳)前の四阿にある箱,大塚古墳(114号墳)前の標識脇にある箱の中で入手できる。

たまたま夫婦塚古墳の前で出逢った地元のボランティアの方から御教示いただいたところによれば,これらの古墳の草刈りやパンフレットの管理等は,地元のボランティアの方々によって行われているのだそうだ。元はびっしりと笹が覆っており,どこに墳丘があるのかもわからないような状態だったとのこと。ボランティアの方々の長年にわたる御尽力の継続により,現況のような安全に古墳見学をすることが可能な状態となっている。また,比較的最近に削平された古墳のことなどについて,そのボランティアの方から重要な情報を得ることができた。まことにありがたいことだと思う。

この分布図は,だいぶ前に作成されたもので,最新のものではない。既に湮滅している古墳に関してもアクセス可能な場所には出向き,痕跡なく消滅しているかどうかを確認した。イノシシが出没しているとのことで,各所にイノシシ捕獲用の罠がしかけてあり,危険だということもあり,草藪がひどい場所には無理に入らなかった。そのため,全てを確認できているわけではないが,予め文献資料の調査中によってアクセス可能だと判断し,観たいと思っていた場所の概ね全部を回ることができた。

なお,古墳の番号については別の付番もあるのかもしれないが,このブログ記事では,現地で入手した分布図の付番に従うことにする。この分布図とほぼ同じ分布図は,佐々木憲一・田中裕編『続常陸の古墳群』(六一書房)の273頁にもあり,その付番もほぼ一致している。ただし,同書273頁にある現況の状態を示す記載は,全くもって不正確なもので信頼性がないと判断した。これは,だいぶ前に実施された調査結果を基礎として作成された現地パンフレット(分布図)の記載をそのまま受け売りしたために生じたことで,出版時である2020年3月の直近時点までに古墳群全体について現地踏査をしていればそのような結果にならなかったと思う。

考古学の専門家ではない高齢者の一員である私でさえ,前後3日の日数をかけて実施できたことなので,考古学の専門家であれば,もっと短期間で現地踏査を実施し,精密な記録を作成し,公表する能力をもっていなければならない。そうでなければ,専門家としてとても恥ずかしいことだと思う。

夫婦塚古墳(73号墳)は,何度見ても大きな古墳だと思う。後円部の墳頂付近は,少し尖ったような形になっている。最初からそのような形状のものだったのかどうかについては,(後代に付加されたものかどうかを含め)現時点では不明とされているようだ。後円部墳頂が同様の形状をもつ前方後円墳の例としては,大生古墳群(大生西部古墳群)の鹿見塚古墳がある。

もし最初からそのような形状だったとすれば,同じ一族の者を被葬者とする古墳,または,少なくとも同じ祖を崇敬する一族の者を被葬者とする古墳だと仮定して考察を進めることが可能となるだろう。反対に,もし後代に付加されたものだとすれば,誰によって,何のために,そのような形状にされたのかが考究されなければならない。


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夫婦塚古墳(73号墳)の南西側にある駐車場と四阿


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東の方から見た夫婦塚古墳(73号墳)
(左手前が後円部・右奥が前方部)


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南東の方から見た夫婦塚古墳(73号墳)の後円部


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南西の方から見た夫婦塚古墳(73号墳)の後円部


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南西の方から見た夫婦塚古墳(73号墳)の前方部


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東の方から見た夫婦塚古墳(73号墳)の南西側周溝部分


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西の方から見た夫婦塚古墳(73号墳)の南西側周溝部分


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夫婦塚古墳(73号墳)と116号墳との間付近の周溝部分


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くびれ部前付近にある説明板


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四阿前付近にある説明板


夫婦塚古墳(73号墳)の南西側にある駐車場部分の西端付近には1セットの石棺が復元されたような状態で保存されており,その近くに別の複数のセットの石棺と思われる石棺材が積まれている。これらは,既に湮滅した古墳から出土したもののようなのだが,どの古墳のものかはわからない。

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保存石棺


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別の角度から見た保存石棺


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保存石棺の説明板


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別の石棺材


夫婦塚古墳(73号墳)の後円部のすぐ東側には円墳(116号墳)がある。また,夫婦塚古墳(73号墳)の後円部の南側には別の円墳(117号墳)がある。
116号墳と117号墳に関しては,現地説明板の中にも簡単な解説がある。しかし,これらの円墳が夫婦塚古墳(73号墳)の造営と同時に構築されたものかどうかについては,現時点では不明。


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南西の方から見た116号墳


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東の方から見た116号墳


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南西の方から見た117号墳


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北西の方から見た117号墳


夫婦塚古墳(73号墳)の南西側には茨城県企業局鹿行水道事務所がある。この水道事務所の敷地内にも非常に多数の古墳があったのだそうだが,現在ではごく少数の古墳だけが保存されている。
水道事務所の正門の左(守衛所脇)には77号墳(円墳)があり,それと対をなすようにして正門の右には78号墳(円墳)がある。ただし,78号墳所在地には大小2基の塚があるようにも見える。そのいずれが78号墳に該当するのか確実ではないが,たぶん,大きな方の塚が78号墳に該当するのだろうと思う。

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77号墳


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78号墳所在地


水道事務所敷地のほぼ中央付近に少し高くなった場所があり,そこに95号墳(円墳)と96号墳(円墳)が保存されているということになっている。敷地内に立ち入ることはできないが,夫婦塚古墳(73号墳)の駐車場付近から見ると,95号墳と96号墳の所在地付近を見ることはできる。西側の方からも(フェンス越しに)見えるらしいのだが,あまりよくわからなかった。


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95号墳及び96号墳所在地付近遠望



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