桜川市:青木神社と古墳

過日,青木神社(茨城県桜川市青木)を参拝した。祭神等の詳細は不明。社殿は,立派なものだった。

神社入口から社殿までの間の参道の長さが約300mとかなり長く,しかも,そこからずっと大日山を登る上り坂になっている。神社入口付近(右側)には立派な塚のようなものがある。現時点では古墳としては指定されていないので,信仰塚という扱いなのかもしれないが,この塚は,青木古墳群または青木大社塚古墳群または真壁郡大和村青木古墳群と呼ばれる古墳群を構成する古墳の1つではないかと思う。この神社入口付近にある古墳の詳細は不明ながら,現況の外形上は円墳または変形した前方後円墳のように見える。また,鳥居から社殿の間の参道脇にも円墳の残骸ではないかと疑われるような地形があった。

社殿のある境内地は,大日山の中腹付近にあり,社殿のある場所と同じレベルの境内地だけではなく,本殿裏の少し高い場所にも多数の境内社がある。近隣の古墳や塚の上にあった祠などを集めたものかもしれない。

社殿の右手の方から大日山に登る登山道があり,その標識も立てられている。大日山には他に2カ所の登山口があるけれども,大日山の頂上からみて西側にある青木神社からの登山口から登るとイノシシ対策の柵のある場所に至り,自分で対処してそこを通過しなければならない。大日山の北側の登山口入口付近も同じ。大日山の南側の登山口から登ると,イノシシ対策の柵に沿って登ることになるけれども,柵にぶち当たることなく頂上に至ることができる。

この南側の登山口から登ると,途中で比較的大きな塚を見ることができる。この塚も現在では古墳には指定されていないので,信仰塚の一種として扱われているのかもしれないが,この塚は,「堂の入り古墳」と呼ばれる古墳に該当するものと思われる。この古墳の詳細は不明ながら,現況の外形上は円墳のように見える。「堂の入り古墳」からは,茨城県鉾田市の不二内古墳から出土した埴輪と類似する「ひざまづく武人像」の埴輪が出土しているとのこと。

かつて大日信仰が盛んだった頃には,大日山の山腹にもっと多くの古墳または塚があり,全体として群集墓を形成していたものと推定される。安久津久・片平雅俊「国立歴史民俗博物館研究報告第44集 常陸の後期古墳の様相」(1992)の432頁によれば,この古墳群は,1基の前方後円墳と14基の円墳で構成されているとのこと。大日山の山腹には墓地のようになっている場所が何か所かあるけれども,そのような場所の中には,元は古墳または塚だったのだろうと推定されるところがあった。その古墳または塚の被葬者を祖先とする方々が現代まで続き,家の墓所として大事に守ってきたのだろう。


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神社入口付近


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神社入口右脇にある古墳様のもの


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鳥居


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参道


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拝殿前の階段


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拝殿


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本殿


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境内社


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境内社


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社殿の少し上にある境内社


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手水


青木神社を参拝した日から数日後,大日山に登り,頂上を目指した。登山道は険しいものではなく,しっかりと歩けば頂上に至ることができる。登山道は,綺麗に除草されていたので,歩きやすかった。道路に沿ってイノシシ対策の柵がある。

大日山の頂上には大日塚古墳または御堂大日塚古墳または青木神社裏古墳と呼ばれる古墳がある。この古墳は,円墳とされており,石室が開口している。その石室は,一部修復・復元されたものと推定される。大日信仰のための御堂として用いられてきたもののようだ。石室の前で合掌した。


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大日山南側登山口付近から見える樹林


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「堂の入り古墳」と思われる円墳様のもの


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南側登山道


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頂上付近


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大日塚古墳(御堂大日塚古墳・青木神社裏古墳)


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石室内の様子


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大日山縁起碑


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大日山頂上付近から見える景色


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大日山北側登山口付近



[追記:2020年2月26日]

青木古墳群の所在地に関して誤解があったことを後で認識したので,関連する引用文献の部分を削除した。青木古墳群は,桜川市役所の北西の方にある。



 神社ぐだぐだ参拝録:青木神社(青木)



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