新庄市:瑞雲院と新庄藩主戸沢家墓所

過日,曹洞宗・向陽山瑞雲院(山形県新庄市十日町)を参拝し,その墓域内にある新庄藩主戸沢家歴代の廟(御霊屋)を拝見した。この場所には,合計7棟の廟の中の6棟があり,残りの1棟の廟は,臨済宗妙心寺派・香雲山桂嶽寺(山形県新庄市十日町)にある。
現在の瑞雲院は,旧奥州街道の東側(指首野川の東側)にあるが,元は旧奥州街道の西側にあり,火災により焼失したため現在の地に移転し,それ以降,元は墓石だけだった歴代藩主の墓所に覆堂を建築し,現在のような姿になったとされている。
瑞雲院にある6棟の廟は,方形の土塁で囲われており,古代における支配階級の墓域が大規模な周溝等によって区切られているのと近似した構造となっている。墓石を覆堂で包んで廟とする方式は,(トポロジー的な発想の下においては)石室を土で包んで墳丘とする方式と基本的には同じであり,ただ,その用材が異なっているだけだと理解することができるから,そのような観点を前提とする限り,この墓所は,古代の武人支配階級における葬礼様式と近似するものだと言い得る。
瑞雲院にある廟の建築様式は,築造された時代の様式を反映するもので,それぞれ少しずつ異なっており,その意味でも極めて価値の高い文化財として扱われている。この点は,古代における墳丘墓においても,装飾または供養のために供えられた埴輪等の土器の様式及び構成が少しずつ異なっているのと似ている。
これらのことは,「かなり長く時代を経ても,結局,人間の考えることにはあまり変化がない」ということの例証の1つでもあるかもしれない。
とまれ,現地に到着した後,全ての廟の前で合掌し,それぞれの廟を拝見した。

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瑞雲院の山門


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瑞雲院の本堂


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墓所入口


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説明板


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案内図


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四号棟


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左から順に六号棟,三号棟,一号棟


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左から順に二号棟,五号棟


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指首野川の流れ
(対岸の竹林は瑞雲院の境内地)



 新庄市:新庄藩主戸沢家墓所(国指定史跡)
 http://www.city.shinjo.yamagata.jp/k001/020/010/050/010/2575.html

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