群馬県太田市：太田天神山古墳

過日，東日本最大の前方後円墳とされる太田天神山古墳（群馬県太田市内ケ島町）と隣接地にある女体山古墳を見てきた。東関東自動車道を走り，太田桐生ICで降り，一般道をしばらく南下すると古墳のある場所に至る。応神天王陵等と比較すればずっと小さいが，それでも非常に大きな古墳であることは間違いない。

大きな古墳なので，かなり遠くから撮影しないと全体像が写真の中に収まらない。まるで小山だ。多数の車両が通行する主要道路なのだが，しばらく待っていたら運よく車が途切れたので，すかさず撮影した。この道路は，古墳の周濠の一部と交差している。写真の古墳右手部分の道路敷地は，かつては周濠だった。

この道路に面した後円部の裾野部分に古墳名を記した石柱が建てられていた。この場所から登ってみることにした。ところで，この古墳の被葬者は，不明だとされている。下記邪馬台国の会の講演では崇神天皇の子孫である「荒田別（アラタワケ）」ではないかと推定しており，私もその可能性が高いのではないかと思っている。そして，荒田別は，中世の新田氏の祖であるとも考えられているようだ。

古墳の表面には川原石のようなものが見られる。葺石の残存物なのだろう。古代においては，全体が白く輝く美しい古墳だったのだろうと思う。後円部に盗掘されたと推定される石室の一部が露頭していると書籍に書いてあったがよくわからなかった。後円部の頂上部分は掘削されて凹んでいた。

墳丘上には各所にキツネノカミソリ（Lycoris sanguinea）が生えており，正に花盛りだった。この場所でキツネノカミソリのお花畑と出逢うとは予想していなかったので，とにかく驚き。

前方部の頂上付近で，神像のようなものを見つけた。誰かがどこかの神社等から盗んできて捨て置いたものだろうか？

前方部と後円部の間の側面には神社と参道（石段）のようなものがあり，本来はここから登るものらしい。たまたま，道路からすぐに後円部に登ってしまったので，逆コースになるが，神社を参拝した後，この階段部分から下に降りた。ここにもキツネノカミソリがいっぱい。

周濠は何となく古代の雰囲気が残されているような感じがする。ガマ（Typha latifolia）やジュズダマなどがいっぱい生えていた。たぶん，中国から渡来し植栽されたものが増えたのだろうと思う。

とにかく大きな古墳だった。凄いとしか言いようがない。

これに対し，近隣にある女体山古墳はやや小ぶりな帆立貝型古墳で，基本的には円墳に祭礼用の張り出し部分が附属したような形をしている。何となく，少し離れたところにある塚廻り古墳と形が似ているような気がした。もしかすると，張り出し部分のようなところには埴輪が並べられていたのではないだろうか？

　　天神山古墳
　　http://www.city.ota.gunma.jp/005gyosei/0170-009kyoiku-bunka/bunmazai/otabunka44.html

　　邪馬台国の会：第283回講演会「埼玉稲荷山鉄剣の時代　かささぎ」
　　http://yamatai.cside.com/katudou/kiroku283.htm

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Comments

[電脳中年A]

緑屋さん

このキツネノカミソリは，マンジュシャゲと同じようにして植栽されたものの子孫ではないかと推定しています。仮にそうだとして，古代において曼珠沙華と呼ばれた植物が実はキツネノカミソリだったなんてことがあり得ますね。

他にギボウシの類も開花しておりました。比較的最近の植栽ではないかと思います。

周濠の部分は，古墳公園として整備される前は田圃だったのかもしれませんね。

ただ，「内ヶ島」という地名から推測すると，灌漑用の池として使われていた可能性もあります。

ガマとジュズダマ以外には，イヌビエのような植物も生えておりました。採取してこなかったので精密に観察しているわけじゃないのですけど，もしかすると稲作前に栽培されていた稗が野生状態に戻ったものかもしれないなどと想像したりしております。

[緑屋]

「キツネノカミソリ」　そんな場所に有るのですか面白いですね。
「ジュズダマ」「ガマ」を見ると昔は水田だったのだろうな～と感じます。