つくば植物園:クヌギの冬芽

色んな樹木がある。日本は狭い国土の割合には非常に多様な樹木が存在している。これまでの数年間の間に,かなり多数の種類の樹木の花と出会ってきた。どれも素晴らしい。そうした樹の花の中で私が最も好きなのはクヌギの花なのだろうと最近思うようになってきた。

クヌギの花はとても地味だし,その雄花はまるで毛虫のような形をしている。普通の花のように花弁があるわけでもないし,特に素晴らしい香りがするわけでもない。雄花が咲き終わると,汚いゴミのようになってバラバラと落ちてしまう。

このように文章でもってクヌギの花の特徴を書くと,とんでもなくつまらない花のように思えてしまうかもしれない。

しかし,春になると,クヌギの黄色がかった緑色の花が樹木全体を独特の覆い隠してしまうような様子はとても素晴らしいもので,これは実際に観たことのある人でなければ味わえないものかもしれない。

とは言っても,クヌギはそんなに珍しい樹木ではなく,日本の里山にはどこにでも生えている樹木の一つだ。だから,気をつけてさえいれば結構身近にも生えており,実際,私の自宅から歩いて数分のところにも大きなクヌギの木がある。

春に木々の若葉や小さな花が枯れ木色の山々を淡い緑色や桃色の混じりあったグラデーションのような感じに染めていく様子は,日本ならではのとても素晴らしいものだと思う。日本人の繊細な美意識は,そうした微妙な変化の積み重ねによって成り立っている日本の自然と気候がはぐくんできたものであるのに違いない。

・・・ということなどを考えながら,つくば植物園にも生えているクヌギの冬芽の写真を撮った。

Quercus acutissima


何の変哲もない単なる樹の芽に過ぎない。

でも,私にとっては,自然が生み出す素晴らしい造形の一つとして心に残っていくのだ。

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