カフェ・マロンの木(ラモスマニア・ロドリゲシイ)の花
王立植物園内にあるパームハウスという温室で,ラモスマニア・ロドリゲシイの花を観た。ジャスミンに似た白い花だ。この植物は,この温室ではおそらく最も貴重な植物だろうと思う。なぜなら,世界中でたったの1本だけ残して絶滅しかかっていたのを,この植物園が種子から自家受粉によって増やすことに成功したというのだから。賞賛すべき大きな功績だと言える。
ラモスマニア・ロドリゲシイ(Ramosmania rodriguesii Tirveng. (= Ramosmania heterophylla [Balf.f.] Tirvengadum & Verdc.))は,アカネ科ラモスマニア属に属し,インド洋のモーリシャス(ロドリゲス島)原産だったが自生地ではいったん絶滅してしまった常緑低木ということだ。
英名を「カフェ・マロン」と言うらしい。
この植物は,モーリシャス島のロドリゲス島のみに自生していた植物で,1877年に最初に発見された後,1940年ころには絶滅したと思われていた。ところが,1980年,イギリスのあ教師が探検のために学生をロドリゲス島に送ったところ,ヤギに葉を食べられてしまっていた潅木を見つけた。その学生から送られた枝を検討した結果,長らく失われたものと思われてきた
カフェ・マロン(ラモスマニア・ロドリゲシイ)だと分かり,世界にたった1本だけ残された木として周囲に有刺鉄線をはりめぐらせて育てられることになった。その後,ダニによって病気になってしまったけれども幸いにも回復し,1986年にその枝が王立植物園に送られた。王立植物園では増殖が試みられ,それに成功すると,2001年には増殖により株分けした株がモーリシャス島に送られた・・・以上が王立植物園のサイトにある公式の説明の概要だ。
この説明から推測すると,この植物は,もともと病虫害に弱い植物ではないかと思われるのだが,それ以上に,人間が家畜として持ち込んだヤギにより食い尽くされてしまったために本来の自生地では絶滅してしまったのではないかと思う。動植物の絶滅では,よくあるパターンのひとつだ。農民もヤギも自分が生きること(だけ)が最も重要な課題なので責めることはできないかもしれない。しかし,それによって絶滅が惹起されたことは事実だ。世界規模で人類の人口の相当大幅な抑制政策が実施されない限り,これからも同じことが何万回も繰り返されることになるだろう。
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