ホソバウンラン
今年の7月に日光を訪問した際に見かけて写真を撮ったまま,何という花なのか分からないでいたものがいくつかある。他の植物のことを調べていたら,その中の一つが何の花であるのかが偶然に分かった。帰化植物であるホソバウンランだったのだ。どうりで普通の植物図鑑等には掲載されていない。
ホソバウンラン(Linaria vulgaris P. Mill.)は,ゴマノハグサ科ウンラン属に属し,欧州原産の帰化植物で,北海道,本州,九州の平地の砂地や道端などに帰化している多年草ということだ。日本へは米国経由で渡来したらしい。
英名を「Toadflax(蟇蛙亜麻)」と言うらしいのだが,これは花の形がヒキガエルに似ていることに由来するのだという。また,米国では「Butter and eggs(炒り卵)」とも呼ばれているらしい。これは,花の色に由来するものだろう。
そこで,例によって米国のサイトでToadflaxについて調べてみた。
すると,この植物は,欧州から観賞用に米国に導入されたものであること,北アメリカの中西部の一部などを除くほぼ全域~カナダ南部に広く帰化していること,この植物には他の植物を殺す有毒成分が含まれていること,そのため,在来の山野草に対して深刻な脅威を与えつつあることなどが分かった。このような有毒成分は日本のヨモギなどにも見られるものであり,そのような成分を持つ植物が繁茂し始めると他の植物が殺されてしまい,その成分を持つ植物だけの単純な植物層が形成されてしまうことになる。
なお,近縁種に「ダルメシアン・トードフラックス(Linaria dalmatica L.)」という植物もあるようだ。この植物は,ホソバウンラン(Linaria vulgaris)よりも更に大きく強い植物らしい。
近年,この植物は西日本を中心にその勢力を拡大しているということなのだが,もしかするといずれ日本中で繁茂することになるかもしれない。
だから,見つけ次第どんどん焼却処分してしまわないと,いずれ大変なことになってしまうかもしれないと思うのだが,一体誰がそれをやることになるのだろうか?
日本の環境庁の現在の力量(予算規模・人員など)では到底無理なことではないかと思われるのだが・・・
ホソバウンラン(細葉海蘭)
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