ツノアオカメムシ
美ヶ原高原の王ヶ頭から南のほうに広がる草原と山々を見渡していた。何ともすがすがしい。そして,山道を降りようと後ろを向いたら,何と目の前の草叢の中で比較的大型の美しいカメムシがもがいていた。何でそんなところにいたのかは分からない。
ツノアオカメムシ(Pentatoma japonica Distant)は,カメムシ科に属し,北海道,本州,四国,九州,朝鮮半島,中国,シベリア東部に分布し,山地に生息するカメムシということだ。
何とも美しいカメムシだ。緑色の地に金属光沢のあるコーティングをほどこしたような体色をしている。
夜間灯火に飛来することがあるということなので,もしかするとこれまでに見た経験もあるかもしれないが覚えていない。まして,日中にその姿をじっくりと見たのは今回が初めてだった。
この美しさは,このカメムシが死ぬと失われてしまうものだという。
どういう原理によってその美しさを表しているのか知らないが,不思議なことだと思う。
人間でも同じようなことがあるかもしれない。
標本のようになってしまったとたん,たちまちそれまでの煌びやかな光彩を失ってしまった逸材がかつてたくさんいたことを私は知っている。
ツノアオカメムシ
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